平成21年度特別講演会 第34回

開催日平成22年2月19日

講演会に申し込まれる方は以下のボタンをクリックしてください

講演会に申し込む

講演内容(予定)

プリンテッド・エレクトロニクス:製造技術の革新によるフレキシブルデバイスの展開

産業技術総合研究所  八瀬 清志

有機・高分子材料は、以前のレジストやパッケージングなどの消極的な使い方から、有機ELや太陽電池に見られるように、その特異な光電子機能を最大限に発揮させたデバイスやモジュールの開発が盛んである。
また、半導体としての電子特性も非晶質シリコン並みの移動度を示すものも開発されている。現在は、フォトリソグラフィーを併用したフレキシブルディスプレイの研究開発が主流であるが、有機・高分子材料ならではの大気圧、低温、大面積パターン化技術としての印刷技術の革新が必要である。
本講演においては、それらの新規有機・高分子材料を用いた大面積印刷エレクトロニクスの最新の印刷技術を紹介する。
光ファイバ増幅技術の研究動向

大阪府立大学  山田 誠

光ファイバ増幅技術は、光ファイバ通信ネットワークにおいて伝送用光ファイバやネットワークを構成する光ノード装置の損失を補償してネットワーク規模の拡大、長距離化を推し進める上で重要な構成要素であり、その増幅帯域あるいは動作波長域はシステムの運用波長を決定すると言っても過言ではない。
また、光ファイバ増幅器には、光ノード装置におけるWDM信号のAdd/Drop、バーストスイッチングネットワーク等へ応用するためにマイクロ秒の信号変動に対して信号利得の変動を小さく押さえるための制御、実システムへの適用を考慮した場合に重要な集積化・小型化が求められる。
本講演では、広帯域化、高速制御及び集積化・小型化に関しての動向を中心に報告する。
悪性脳腫瘍に対する光線力学療法の実践

東京医科大学  秋元 治朗

脳神経外科医にとって最大の難敵である悪性脳腫瘍(膠芽腫)では、十分な手術放射線科学療法を行ったとしても、5年生存率は10%未満である。
その最大の要因は、腫瘍の正常脳への浸潤増殖性であり、正常神経機能を温存した最大限の摘出を行ったとしても、再発は必ず局所から生ずる。この局所浸潤域の腫瘍細胞を、選択的にダメージし得る方法論として、光感受性物質と半導体レーザを用いる光線力学的療法に活路を見出した。
手術24時間前にTalaporfin sodium(Laserphyrin)を静脈投与し、腫瘍を可及的に摘出した後の腔に150mW/cm2、27J/cm2の664nm diode Laserを照射する。
この術中追加治療により、膠芽腫の平均生存期間を14.6カ月から19.9カ月まで延長することが出来た。60例ほどの臨床経験で特記すべき有害事象は生じていない。
本臨床経験を基に、現在、日本医師会、厚生労働省の支援のもと、日本初の医薬品医療機器併用の医師主導治験を施行中である。
光ファイバ型睡眠時無呼吸センサの開発

東京工科大学  三田地 成幸

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は、夜中に呼吸が止まる病気である。SAS患者は、日中の強い眠気のために交通事故や産業事故を引き起こす危険性や、高血圧、心筋梗塞・脳卒中などの合併率も高い。
わが国のSAS患者は200万人でさらに280万人の潜在患者がいると言われている。
本講演では、世界で初めて開発した光ファイバを用いた睡眠時無呼吸センサ(F-SASセンサ)の測定原理、装置構成、測定方法、他の方法との比較、スクリーニング特性、広がる可能性について紹介する。
このF-SASセンサは無拘束であり、寝具のシーツの下にファイバシートを敷いて通常の就寝状態で体に何も装着せずに睡眠時の呼吸状態を測定可能である。
光硬化性樹脂を用いた光インタコネクション技術

東海大学  三上 修

近年、ユビキタス社会実現を目指し、多種多様な情報通信技術が発達してきた。トラフィック量の増加に伴い、電子機器におけるチャンネルあたりの伝送速度も一層高速化が必要とされる。しかし、従来の電気配線方式では、電磁干渉やクロストークといったノイズが増加し、また、信号の劣化という根本的な問題も顕在化しつつある。 これら電気配線方式のボトルネックを解消するために、電気配線の一部を光配線に置き換える“光インタコネクション”技術が注目されている。
本稿では、その内のひとつであるボードレベル光インタコネクションに注目し、その主な構成要素となる電気配線層と光配線層から構成される光電気混載基盤(OE‐PWB:Opto‐Electric Printed Wiring Board)上の光デバイスと光配線間接続に必要な光機能デバイスを、光硬化性樹脂を材料とするフォトマスク転写法を用いて創製することを検討した。